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2007年7月24日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:“空き周波数”割り当て 結局は既存企業が独占
 総務省は先月末、テレビのアナログ放送が2011年に地上デジタル放送に移行することに伴い、空きができる周波数帯の3割を携帯電話用に割り当て、残りを別途活用する再配分計画を公表した。
 

この周波数割り当ては微妙です。今はWiMax用に新たに周波数の割り当てをするということで皆その機会を狙って待っているところです。

従来のテレビ電波はWiMaxなどで想定されている2―3キロメートルくらいの到達距離よりも遙かに遠く、かつ建物などにも浸透するので、こちらが解放されるなら無理に中途半端なWiMaxを敷設しないでもよいのではないか、と考えている企業も多いでしょう。しかしVHFなどの空き電波は携帯電話用には3割しか割り当てない、あとは公共の目的に、などと総務省が肝っ玉の小さいことを言っています。

以前にも述べましたが、総務省は次世代高速通信の周波数帯を既存の携帯電話会社には単独で割り当てず、新規参入を優先するという方針を示しています。

と言いながら、既存の携帯電話会社の子会社でも、出資比率が3分の1以下であれば割り当ててもいい、とも言い出しています。

結局、実施されたときには既存の3系列の中に割り当てられている、ということになるのではないでしょうか。毎度のように繰り広げられる、こういう電波行政の茶番は勘弁してほしいですね。

 
 
テーマ2:総務省のいやらしい政策の余波
 森トラストは今年4月に取得したアイピーモバイルの株式を米の通信企業ネクストウェーブ・ワイヤレスに売却すると発表した。
 

これも、テーマ1で指摘した総務省のいやらしい政策の余波と言えます。総務省は一昨年、新しい周波数帯の利用申請を新規参入企業から受け付け、ソフトバンクとイー・モバイル、そしてこのアイピーモバイルが免許を得ました。

ところが、ソフトバンクの孫正義社長はその後、免許を返上し、ボーダフォンを買ってしまいました。イー・モバイルは今年、単独で事業を始めましたが、次世代高速通信についてはソフトバンクモバイルと組む方針を表明しています。

アイピーモバイルに至っては、なぜか不動産業の森トラストが株を取得し、その株も結局、外資に売られてしまいます。

つまり、どんなに総務省が“工夫”をしてみても、あまり意味のある結果にはならないということです。ならば最初から、既存の携帯電話会社に新しい周波数帯を割り当てるほうが、よほど利用者のため、ということになります。

なにより、次世代高速通信はわれわれユーザーに利便性があるものです。既存の会社に割り当てるほうがユーザーのメリットになります。会社の規模が小さくて、なかなかネットワーク投資ができないような会社に周波数を割り当てても、結局いつまで待っても何も起こらない。つまり官僚の自己満足ということだけになります。ライセンスを認可するときだけいい格好をするのではなく、その後のフォローまでちゃんとしてもらいたいものですね。

 
 

テーマ3:ドコモの「値引き策」収益に影響も
 NTTドコモは先月末、全契約者の7割超が利用している「ファミリー割引」の内容を拡充すると発表した。2年間の継続利用を条件に、家族でもっとも長く利用している人の割引率を全員に適用するというもの。

 

私は以前、ドコモの「そろそろ反撃してもいいですか」という広告を批判しました。「反撃」などという言葉を使えば、消費者は当然「値引き」を連想します。結果として、血みどろの値引き合戦になると思ったからです。

これに対し、ドコモは当初、技術革新で「反撃」するとしていました。しかし、「ドコモ2.0」の切り札として出したFOMA904iシリーズには大した技術は搭載されていなかった。そこで、引き続き、本当の「値引き」策を出してきました。

それにしても、この「ファミ割MAX」というのは、とんでもない内容の割引です。結局、ドコモ2.0戦略というのは技術の戦いではなく、割引の戦いだったということです。

約5200万人もの契約者を抱えているドコモとしては、契約者を逃さないということが重要ですから、この「ファミ割MAX」は防衛策としては非常に有効と言えます。しかし、収益のコアの部分を直撃する割引策でもありますから、ドコモの収益にかなりの悪影響を与えると思います。

 
 
テーマ4:日本がネット普及率で中韓に押され
 アジア太平洋10カ国・地域のインターネット利用状況調査で、日本のネット利用者数は5368万人、首位の中国は9152万人だった。
 

利用者数だけを見ると、日本が5300万人で2位、3位は韓国で2600万人となっていますが、これに日本と韓国の人口を加味すると、日本の普及率は49%なのに対し、韓国は65%で非常に高いということがわかります。

一方、首位の中国の普及率はまだ9%ですから、これが50%近くまでいくと、利用者数を比較すること自体ナンセンスな調査となるでしょう。

いずれにしても、インターネットに関して日本は、中国と韓国に一目置かざるを得ない状況になってきていますね。

 
 
テーマ5:グーグル高株価が米ナスダック好調の要因
 米グーグルの株価が7月13日、過去最高値を更新した。時価総額は1720億ドルで、ヤフーの5倍に膨らんだ。
 
グーグルの時価総額はどんどん伸びており、つい最近までは14兆円程度だったのが、18―19兆円にまで達しました。グーグルはとどまるところを知らず、といった状況です。米ナスダックが好調なのも、グーグルが押し上げているという要因があります。
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