| 2008年10月24日号 |
| IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。 |
|
|
| |
テーマ1:パナソニックに社名統一
松下電器産業は今月1日、パナソニックに社名変更した。「ナショナル」ブランドも2009年度までに廃止し、全社的にパナソニックに統一する。 |
|
| |
いままで松下は、パナソニック以外にナショナル、テクニクス、クェーサーなどのブランドを持ち、傘下の会社によってはロゴの色まで変えていたほどですが、それが全部パナソニックになります。
ビジネスウイーク誌で「ベスト・グローバル・ブランド」という特集をしていますが、ここで今回上位に上がってきたのはグーグル、アップル、アマゾン、任天堂、そしてファッションブランドのザラです。
一方、ブランド価値が下がってきたものは、メリル・リンチ、GAP、モルガン・スタンレー、シティ、フォードです。問題企業のオンパレードという感じですね。
そのトップ100の中で、パナソニックは依然として低いのですが、今後、社名普及にお金をかけていけば、パナソニック・ブランドは少なくともトップ30ぐらいには出てくると思います。20位前後にいるサムスン、ソニーに匹敵する順位にはなるでしょう。
|
| |
|
|
| |
テーマ2:ソフトバンク 株価低迷のワケ
ソフトバンクの株価が低迷している。米国のサブプライムローン問題を発端に世界的な金融不安が高まるなか、同社の抱える高水準の有利子負債などが嫌気されたとみられる。 |
|
| |
ソフトバンクモバイルはiPhoneを大々的に売り出しましたが、その興奮が世の中に渦巻いたわりには事前の期待ほど売れず、スローダウンしてしまったということだと私は思います。
iPhoneは私も買って使っています。ブラウザーを使ってウェブを見るだけならよいのですが、画面タッチで入力するのは手間がかかります。結局、従来の親指入力の携帯電話も手放せません。
一方、全体の契約者数もナンバーポータビリティーで他キャリアから顧客が流入しているとはいえ、ホワイトプランなどはもともと収益が低いので、現状程度の増加数ではなかなかキャッシュを生みません。ソフトバンクはボーダフォンを買うときに巨額の借金を背負っていますので、それも大きな不安要因です。そもそも日本の携帯電話市場は衰退市場です。数が決まっている中でのシェアの取り合いですので、シェア獲得にはどうしてもお金がかかります。それらのことが原因で株価が落ちているというわけです。
|
| |
|
|
| |
テーマ3:パソコン並みの“グーグル携帯”
米グーグルが開発した携帯電話向けプラットホーム「アンドロイド」を搭載した初の端末「G1」が10月22日、米Tモバイルから発売された。価格は179ドル。発表会でグーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏は「数年前のパソコン並みの能力があり、携帯ネットの普及につながる」と自信を示した。日本での発売は未定。 |
|
| |
アンドロイドは携帯電話向けOSの中では非常に有力視されている存在です。アップルのiPhoneも注目されていますが、どちらももはや「携帯電話」ではないですね。
どちらも片手では十分に操作できず、むしろポケット用パソコンといった趣です。これを携帯電話だと思うから、従来と比較して不自由に感じるわけで、超小型になったパソコンだと割り切れば便利に使えるかもしれません。
|
| |
|
|
| |
テーマ4:地デジ受信チューナーが1万円!?
パソコン周辺機器メーカーのバッファローは2008年中に地上デジタル放送受信用のチューナーを1万円程度の価格で発売する。これを接続すれば、現在のアナログテレビでも地上デジタル放送が見られるようになる。 |
|
| |
地デジチューナーが1万円で登場するわけで、これまで家電業界が地上デジタル化によって期待していたような巨大な市場は現れないということです。
すでに、生活保護家庭には5000円以下でチューナーを配布するという総務省の方針も出ています。アンテナをどうするのか、という問題は残りますが、市販品でも1万円程度でデジタルへの移行ができるというわけですから、11年の完全地上デジタル化は業界が大騒ぎしているほどの需要創出にはつながらないでしょう。
|
| |
|
|
| |
テーマ5:中国の新法に日米欧懸念表明検討
中国は、IT製品の設計情報開示を求める新法を2009年から導入する計画を進めている。これに対し、日米欧の経済界は共同で懸念を表明する検討に入った。ソフトの設計情報は通常、知的財産の保護対象となる機密情報であり、外国企業にとって貿易の障壁になりかねない。 |
|
| |
聞いたことのないような、おかしな法律をつくろうとしているらしいですね。テレビやデジカメなどに組み込まれているOSの内容をすべて開示しろという法律です。
承諾しないと中国では製品を売らせない、というわけですから、知的財産権を基本的に理解していないとしか言いようがありません。
かつて、マイクロソフトとEUが知的財産権をめぐって戦いましたが、それとは次元の違う話です。
中国市場は海外の企業にとって、たしかに魅力があります。しかし、ここまで中国が自国の市場に対してうぬぼれているのなら、世界は中国にソッポを向くでしょう。中国にとって、この法律は命取りになりかねないものだと思います。
|