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2009年1月23日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:アップルの自信と不安
米アップルは「iLife(アイライフ)09」を発表した。iLifeは写真管理ソフト「iPhoto(アイフォト)」や動画編集ソフト「iMovie(アイムービー)」などを包含したソフト群で、前バージョンから機能アップを図った「09」は今後、アップル製パソコンに標準搭載される。また、音楽配信事業では米国内で発売する、ほぼすべての楽曲についてコピー防止機能をなくすと発表した。これにより、iPod以外の他社製端末でも楽曲を取り込んで再生できるようになる。
 

私はお正月にオーストラリアに出かけていましたが、そこで驚いたのは日本で30万円ぐらいのアップル「マック」の高級機が急激な円高で21万円ぐらいになっていたことです。

アップルは世界同一の価格で製品を出していますが、これだけ通貨が変わるとどうしようもありませんね。これだと、オーストラリアの格安航空会社「ジェットスター」を使って向こうに行って買うほうが安いことになります。

iLifeに関しては、すでにほとんど完成されたソフトなので、発売自体はそれほど驚くべきことではありませんが、iPod向けの音楽配信でコピーガード機能をなくすことについては、さて、どうでしょうか?

アップルの音楽配信サービス「iTunesストア」では従来、1曲99セントが最低でしたが、4月からは69セントの曲も用意するそうですね。そうしておいて、楽曲は好きなだけコピーしていいですよ、というわけです。これは、レコード会社との力関係でアップルが俄然強くなったということの表れとも言えます。ただ、これが良いことなのか悪いことなのかは、まだ判断できませんね。アップル側から見ればiPodの売り上げがだいぶ下がってきているので、iTunesストアで儲けるほうが手っ取り早い、という判断があるとみられるからです。

一方、コピー防止機能をなくしたことで、iTunesストアからダウンロードする曲は、iPodだけでなく他の音楽プレーヤーでも再生できるようになります。いままではiPodだけしか使えないように囲い込みをしていましたが、それを取っ払ったということは、iPodの優位にそうとうな自信があるのでしょう。

もうひとつ、アップルについては気になることがあります。創業者でCEOのスティーブ・ジョブズ氏の体調が思わしくないことです。彼は以前、膵臓がんにかかり、手術後、スタンフォード大学の講演でその事実を明らかにして周囲を驚かせましたが、米タイム誌もここにきて「アップルはジョブズがいなくなったときに生き残れるのか」という記事を載せています。

現在、ジョブズ氏はホルモンバランスの崩れで体に必要なタンパク質が失われる病気にかかっていると言います。1月14日には、病気治療のため6月末まで休養すると表明しました。この発表でアップルの株価は急落しましたが、ジョブズ氏の健康問題は今後、要注意ですね。

 
 
テーマ2:携帯回線接続料を見直し
総務省は携帯電話回線を利用する企業が携帯電話会社に支払う接続料の基準を見直し、値下げにつながる制度改正に乗り出す方針を固めた。携帯電話の音声回線の接続料は固定電話の7倍以上高く、携帯電話料金が高止まりしている原因のひとつになっている。総務省は今秋をメドに具体案をまとめ、2010年にも制度改正する考え。
 

これは早くやってほしいですね。日本の携帯電話の事業者間接続料は異常なほど高額です。携帯電話と固定電話の接続料がこんなに違う国はありません。これが日本の携帯電話業界の異常性にもつながっています。

通話をする人が少なくなり、安く済むメールが主流になっているのもそれが理由です。

最近は使う人が少なくなって固定電話の設備は大幅に余っているのですから接続料の抜本的見直しは避けて通れないでしょう。いま、携帯電話会社は分かりづらい複雑な料金体系で顧客を奪い合っていますが、固定であれ携帯であれ、どのくらい使っても月に5000円ポッキリ、というあたりを目途に制度改正をしてもらいたいものです。

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