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2009年3月27日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:ソニー ストリンガー会長をクビに追い込む秘策なし
ソニーは4月1日付で中鉢良治社長が副会長に就任し、ハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者が社長を兼務する人事を発表した。ソニーはエレクトロニクス部門を中心に業績が悪化しており、全世界で正社員8000人を含む1万6000人を削減するなどのリストラを進めている。
 

私が前から言っているように、ストリンガー会長自身がクビになるべきなのですが、いまのソニーにはストリンガー会長をクビにする仕掛けがないようですね。鳴り物入りで登場した社外重役たちも機能していないのでしょう。

エレクトロニクスが悪化していると言いますが、この領域はソニーだけでなく、パナソニックもシャープも日立もおかしくなっています。中鉢社長がストリンガー会長をクビにするという局面も考えられましたが、それだけの根回しができる技術はなく、クーデターはさすがに起こせなかったのでしょう。

その結果、間違った人が実権を握ることになってしまいました。ちょうど日産におけるカルロス・ゴーン会長兼社長と同じく、トップをクビにする方法がソニーにもないわけです。

ソニーは映画やゲーム、金融などにも手を広げていますが、売り上げの約3分の2はエレクトロニクスが稼いでいます。やはりエレクトロニクスが本業なのです。ストリンガー会長が得意なのはエンターテインメント分野でエレクトロニクス分野は弱いですから、彼がエレクトロニクスを直接掌握してもダメでしょう。

セグメント別の営業利益率を見ても、2007年までエレクトロニクス部門はそれほど悪くはありません。それ以降急激に悪くなり、ストリンガー会長がエレクトロニクスの責任者だった中鉢社長を切って若返りを図った、と言っていますが、私はこの人事はおかしいと思います。

本来であれば、「ソニーらしさ」を残すためには若返りではなくむしろソニーのDNAを継承している古い人たちを戻すべきでした。私には、このソニーの不幸と日産の不幸が二重写しに見えます。

 
 
テーマ2:民間のIT投資は”冬の時代”へ
IT投資を減らす企業が増えている。調査会社IDCジャパンが2月に実施した2009年度の「IT投資意向」調査によると、IT投資を減らすと回答した企業は62%で、昨年11月の調査から11ポイント増えた。
 

人減らしが可能な時はIT投資は効果がありますが、いまのように人を減らせない時にIT投資をしても投資分だけがプラスになってしまいます。人の流動性がある時でないとIT投資は難しいと思います。

IT投資でお客さんに対するサービスが増すなどのメリットはありますが、人が従来やっていることをITで補うということが多いので、よほど新しい機能を提案していかない限り、民間のIT投資はしばらく“冬の時代”になるのではないでしょうか。

 
テーマ3:ヤフー、楽天 支持広がる薬のネット販売
ヤフーや楽天が行っている、一般用医薬品ネット通販の継続を求める署名が50万件を超えた。6月の改正薬事法施行を控え、厚生労働省は大衆薬の67%にあたる第一類や第二類の通販を禁止する省令を交付している。ヤフーや楽天は「省令の再改正に向けた支持が広がっている」と主張している。
 

厚労省と日本薬剤師会が夜陰に乗じて改正しようと思っていたら、ここにきて楽天の三木谷浩史社長などが騒ぎ出し、署名も集まって、改正の雲行きが怪しくなってきました。

厚労省としては、薬の数は限るかもしれませんが、従来とはあまり変わらないところに落としどころをもっていかないと収まりがつかないかもしれません。厚労省は今後、マスコミも含めた攻撃をガンガン受けるでしょう。おそらくそれには耐えられないのではないかと思います。

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