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2009年6月26日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:電子書籍端末発売、アマゾン圧倒的優位
米アマゾンは雑誌サイズの電子書籍端末「キンドルDX(デラックス)」を今夏に発売する。
 

アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)はフォーチュン誌の表紙を飾り、特集記事の扉写真ではキンドルを持って大量の本の山の上に座っています。「この大量の本がキンドル1台に収まるんだぞ」というわけです。今夏発売のキンドルは3世代目ですが、従来機も調子よく売れているようですね。

キンドルが従来の出版の流れを変える起爆剤になることは間違いありませんが、ここで油断していると足下をすくわれます。

つまり、アマゾンがキンドルを始めたから、このビジネスをアマゾンが総取りするというのではなく、書籍や新聞をダウンロードして読むということが一般的になれば、アマゾン以外の企業も軒並みこのビジネスに参入してくるということです。その結果、新しい出版ビジネスの競争は激化するでしょう。

ただ、いまのアマゾンは本をダウンロードして売ってよい権利を持っている、また決済のシステムをすでに持っている、という点で他の企業、たとえばグーグルに比べて圧倒的に優位にあると思います。キンドルが、CDを駆逐したiPodみたいな存在になる可能性が高まってきました。

 
 
テーマ2:初のアンドロイド搭載ノート
台湾のパソコンメーカー、エイサーはグーグルの携帯電話用OS「アンドロイド」を自社製品に採用する。小型ノートパソコン(ネットブック)の「アスパイアワン」が対象で、価格は5万円前後になる。
 

アンドロイドをパソコンのOSとして利用するのは初めてです。エイサーはいま、世界シェア3位のパソコンメーカーで、2位を猛追しています。ヨーロッパでの売り上げはトップです。米国でも大手のゲートウェイを買収してシェアを上げています。

したがって、エイサーがアンドロイドを採用する影響は今後さまざまな形で出てくるでしょう。パソコンメーカーが赤字に苦しんでいる日本でも、近々大攻勢に出る予定です。

 
 
テーマ3:ビジオは依然注目銘柄
船井電機は、ビジオ社など米国の11社が船井電機の保有特許を侵害しているとしたITC(米国際貿易委員会)の決定をオバマ大統領が承認した、と発表した。米市場で液晶テレビ販売首位のビジオは少なくとも1週間程度、液晶テレビの輸入販売ができなくなる見通し。ビジオは連邦巡回区控訴裁判所に控訴し、救済措置を求めると発表した。
 

まあ、1週間程度ですから、どうということはないのかもしれませんが、実はこの承認は船井電機にとっては非常に喜ばしいことだと思います。

ビジオは台湾系の米国人が設立した会社で、台湾のOEMを使って中国で生産した製品を米国で低価格で販売するという形態をとっています。米国における液晶テレビのシェアでは、あっという間に1位になり、その後1回落ち込みましたが、いま再び首位に返り咲いています。

その快進撃には日本勢も頭を悩ませています。液晶パネルやチューナーなどの部品を安く買って人件費の安い中国で組み立てた製品と、丁寧に作っているはずの日本製品との違いは画面を見る限りほとんどない、と言われています。

そういう意味から、今回の承認には船井電機も喜んでいるでしょうが、ビジオが依然として注目銘柄であることに変わりはありません。

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