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2009年9月25日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:現状見てないGyaO いまさら「課金モデル」発想
ヤフーのネット動画配信子会社「GyaO(ギャオ)」に、フジテレビと日本テレビが7%ずつ出資することになった。ヤフーはGyaOに対する持ち株比率51%を維持し、フジと日テレの14%は現在49%の株を持つUSENが売却する。
 

GyaOの視聴が面倒くさいのは、最初にCMが流れることです。無料で動画を提供するためにCMを流さざるを得ないのです。しかし、ヤフーは課金のシステムがしっかり構築されているため、その仕組みを利用してGyaOは課金制に移行しようという考えです。

ただ、フジテレビと日本テレビが出資することには疑問符が付きます。コンテンツを持つテレビ局はすべての配信会社と等距離に付き合っていくべきだと思うからです。また、逆も真です。

現在、国内の主な動画配信サービスの利用者数はグーグルのユーチューブがトップで2位はニワンゴのニコニコ動画です。そのニコニコ動画に肉薄する形でヤフー動画とGyaOが続いています。

ただ、ユーチューブとニコニコ動画は基本的に無料モデルです。その下に位置するヤフーとGyaOが有料モデルに転換すると、どういうことになるか。それは有料動画配信のアクトビラやNHKオンデマンドなどがほとんど視聴者を集めていない現状を見れば明らかです。有料化したGyaOの視聴者数が上位2社に追いつくとは思えません。

そもそも、お金を払ってネットでテレビを見ようという人はいません。テレビ番組を無断でネットにアップするのは違法行為ではありますが、いまはどのテレビ番組もネットで無料で見られるのが実情です。海外に住んでいる人は、ユーチューブでNHKの番組を見ているほどです。

ヤフーやUSEN、GyaOがこの点を分かっていないことが私には驚きです。グーグルによって、ネットのコンテンツは無料だということに慣れてしまったネットユーザーに、いまさら課金モデルを出すという発想はどうかと思いますね。

 
 
テーマ2:イオン 地デジチューナー4980円低価格発売
イオンはアナログテレビで地上デジタル放送を受信できるチューナーを4980円で発売開始した。受信を地上波に限定し、チューナー本体やリモコンの部品を減らすなどして低価格化を実現した。ジャスコやサティなど全国の店舗で販売し、1カ月で10万台の売り上げを目指すという。
 

私は何年も前から地デジチューナーなんか買わないほうがいい、最後はタダになると話しています。ようやく4980円まで落ちてきましたね。

最終的に政府は、生活保護を受けている人たちや地デジチューナーを買う余裕がないという人たちに無料でチューナーを配布すると思います。地デジ化した直後に多くの人が「テレビが見られない」と泣けばタダになります。

これは冗談ではなく、地デジというのはその程度のものなのです。「デジアナ」などが登場して盛んに地デジのPRをしていますが、地デジ化の何たるかをまったく知らない人たちがPRしているとしか思えません。

地デジ化は、アナログでも十分に満足している大衆のことを考えないで家電メーカーなどの利権団体とそれに乗っかった総務省が国民を誤った方向に導き、よけいな出費をさせるとんでもない政策だと私は思っています。これから2年、われわれはその最後の後始末、顛末、を見ることになります。

 
 
テーマ3:ノキア ちょっと遅い小型PC参入
携帯電話機世界最大手のノキアは小型パソコンの製造・販売事業に乗り出す。同社は主力の携帯電話の不振で収益の低迷が続いている。そのため、事業拡大が続く小型パソコン市場への新規参入で巻き返しを目指す。OSにはマイクロソフトのウィンドウズを採用する。
 

ご苦労様です、と言いたいですね。小型パソコンはノキアの売り上げに若干は貢献するかもしれませんが、この分野はACERやASUSなどの台湾勢が強く、よほどの商品を出さないと競争にはならないでしょう。ノキアもおそらく誰かに生産委託(OEM)するものと思われます。

そもそも小型パソコンは現在でも2―3万円台で売られていますから、この分野で仮にノキアが台湾勢に勝ったとしても、携帯電話の利益とほとんど変わりません。参入が5―6年遅かったのではないか、と思いますね。

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