こういうことを言うのは一見ずうずうしく、無謀だとの印象を受けますが、最近の日本の経営者がまったく言わなくなった言葉でもありますね。ランチCEOは来日して、日本人の前で平然と「3位以内に入る」と宣言しました。つい最近までは、日本の市場には手も足も出なかったメーカーなのに、ここ2、3年であっという間に日本でも製品が並ぶようになりました。
そして、あっという間に世界シェア2位です。来年にはHPを抜いて世界1位になるとも宣言しています。ネットブックだけでなく、スマートフォンでも攻勢をかける方針です。
米ビジネスウイーク誌は「台湾の新しい夢」という特集で、台湾企業がブランド価値を持ち始めたと報じています。同誌ではエイサー以外にも、スマートフォンのHTCやウイルス対策ソフトのトレンドマイクロ、ネットブックのアスースなどが挙げられています。
従来、台湾の企業はブランドには目もくれず、OEMやODMで製品をつくってきました。ところが最近、製造で蓄えた金を使ってブランドを持っている企業を買い始めています。エイサーもアメリカでゲートウェイを買いました。同時に、自社のブランドを前面に出す企業も現れ始めました。アメリカの液晶テレビでシェアトップはビジオという台湾系の企業です。
これに対して、日本企業はなかなかシェアを取れない。その理由は簡単です。日本の企業は研究・開発から始めて、設計・製造、営業・販売、アフターサービスまで、すべてのビジネスを自社で担っています。そして業績が悪くなると、すべてのシステムの人員や予算を薄く削っていきます。私はこれを“かつおぶしの論理”と呼んでいますが、台湾勢は割り切って製造に集中し利益を出すモデルを確立しました。次に設計に着手し、ODMを始めたわけです。そうしているうちに、気がついたら売り上げでも世界一になっていたというわけです。
企業としての機能は設計と製造だけ、という立場で台湾勢は中国の廉価な労働力をテコに世界の市場を制覇しました。日本勢が「一番儲からない」と言っていた製造分野に特化してシェアをとったのです。
日本勢はマイケル・ポーターのバリュー・チェーンを信奉して、すべての機能に価値を持たせようとしてきました。その結果がこの差です。台湾勢は自分が強い分野で勝負し、いつの間にかブランドも持つようになってしまいました。
日本の経営者は、こうした割り切りができません。ビジネスシステムの機能を切れないのです。カンナですべての機能を薄く削るだけです。しかし、どんどん削っていけば、いずれは血が出ることになり、また体力も消耗して反転のきっかけさえ掴めない、という悪循環に陥ります。 |