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2010年6月25日号
IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四金曜日に掲載されております。
 
テーマ1:スマートフォンシェア争奪戦 ヤフーとノキアの運命は…
世界最大の携帯電話メーカー、フィンランドのノキアと米ヤフーは携帯電話を中心とするネットサービス事業を統合すると発表した。スマートフォンが世界的に普及するなか、携帯電話のサービスを共同で拡充し、この分野でシェアを伸ばしているアップルやグーグルに対抗する。
 

世界最大の携帯電話メーカー、フィンランドのノキアと米ヤフーは携帯電話を中心とするネットサービス事業を統合すると発表した。スマートフォンが世界的に普及するなか、携帯電話のサービスを共同で拡充し、この分野でシェアを伸ばしているアップルやグーグルに対抗する。

アメリカを見るかぎりではアップルとグーグルで決まりという状況です。そのことに携帯世界1位のノキアは焦っており、同じく焦っているヤフーと組んでネットサービスをやろうというのでしょう。

アップルの戦略はアプリケーションを売る場を一般に解放してどんどん作ってもらい、その仕組みに乗っかってビジネスを進めていくというものです。いわゆるクラウドソーシングの応用ですね。公開されているアプリはなかなか気が利いていて、iPhoneのカメラで撮った画像をブルートゥース接続でiPadに転送し、iPad側に写真を収納するといったアプリもあります。写真はiPhoneより画面の大きいiPadのほうが見やすいですからね。

そうしたアプリがゴマンとそろっているのがアップルの世界です。そんなスピード感のある世界に、自社で製品を開発して販売するビジネスを続けてきたノキアが果たして追いつけるのでしょうか。

グーグルもアップルと似たようなところがあり、両社のスピード感を日々感じている私としては、ノキアとヤフーに「グッド・ラック」という言葉を贈るしかありませんね。

 
 
テーマ2:まだまだ続くアップル旋風
米ナスダック市場で、アップルの株式時価総額がマイクロソフトを抜いて情報通信業界で1位、全体で2位になった。時価総額は5月26日の終値ベースで2213億ドル(約20兆円)。
 

スティーブ・ジョブズCEOひとりで、ここまで持ってきたと言っても過言ではないでしょう。マイクロソフトはiPhoneやiPadなどのアップル旋風で上値が重くなっているため、アップルに抜かれてしまいました。

iPadのビジネスは無限にあると思います。本体は少し重くて滑りやすいので落としてしまう人が後を絶ちません。専用のホルダーに入れると少しマシですし、立てて置くこともできます。ブルートゥースでキーボードと無線接続できますし、画面上のソフトキーボードもそれほど違和感はありません。iPhoneと同じく、ユーザーが作ったアプリケーションも相当数あります。私はiPhoneよりもiPadのほうがビジネス的に成功するのではないか、と思いますね。

いまのところ電話はできませんが、マイクもスピーカーもありますので、いずれ誰かがスカイプで電話ができるアプリケーションを開発するのではないかと思います。

 
 
テーマ3:5年後は…? ソニー電子書籍端末「リーダー」
ソニーは同社の電子書籍端末「リーダー」の新しいモデルを日本国内で年内に発売すると発表した。KDDIも専用端末を年度内に開発する方針で、両社は凸版印刷、朝日新聞社を入れた4社で電子書籍配信に関する事業企画会社を設立する。
 

こうした取り組みは、5年後には大体うまくいっていないものです。そもそも、電子書籍でアマゾンのキンドルとiPadの牙城を崩すのはかなり難しいと思います。

キンドルで米国を席巻しているアマゾンでさえ、iPadやiPhone向けにキンドルのソフトを公開しています。アマゾンは、扱う電子書籍をキンドルだけに配信するのではなく、対象ハードをiPadにも広げているのです。キンドルであろうがiPadであろうが、書籍が売れれば売り上げの一部はアマゾンに入るのですから、ハードウエアでiPadと勝負するよりも自分たちはコンテンツ配信業者だと割り切って「実」を取る戦略なのでしょう。

日本の企業が連合する取り組みは、たいていただし書きが多すぎ、うまくいった試しがありません。日本における電子書籍化の問題点は、書籍取次の東販と日販が“妨害”しているというところにあります。出版社が遠慮している、と言うほうがあたっているのかもしれません。東・日販(新聞社にとっては販売店)をなくしてしまうというほどの意気込みと勇気があるかどうか、が成功のカギでしょう。

 
 
テーマ4:「商い無限」のiPad
光学分析機器開発のスカラはiPadやiPhoneにワイヤレス接続できるマイクロスコープ「エアマイクロ」を7月7日から発売する。アプリを起動してエアマイクロのレンズ部分を顔にあてると、50倍に拡大された肌が画面に映り、肌のきめ細かさやしみなどの状態をチェックできるという。価格は4万5150円。
 

知って何になるの?という感じですが、私はそのためにこのニュースを取り上げたのではなくて、iPadというのは前述したように「商い無限」でいろいろなことができるということをお伝えしたいのです。

私が経営しているビジネス・ブレークスルーでも、iPadを日本発売前に入手し、授業に使うためのアプリ開発などを始め、今週からリリースしています。

とにかくiPadでは、いろいろなことができます。任天堂のWiiのように本体の加速度を感知するセンサーなど、いろいろな機能が入っており、開発するのも非常に楽しいデバイスです。このエアマイクロもiPadの機能を生かした製品のひとつですが、えくぼではなくアバタでしたということが分かった後に何をしてくれるのか、その解決方法まで提示してくれることを望みたいですね。

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