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番組概要

PMP資格用講座

【PMP資格用講座】コーポレートファイナンス基礎理論

コーポレートファイナンスの目的は、「資金需要者としての企業が、効率的に財務戦略を展開し、企業価値を高めること」にあります。企業価値を求めるためのキャッシュフローを計算し、それを現在価値に直す割引計算。そしてその割引率を如何にして求めるのかということが大きなテーマとなります。

本講義では、欧米のビジネススクールで、ファイナンスの基本テキストとして高く評価されている『コーポレートファイナンス 第6版(上)』をベースに企業の財務担当者やマネジャーにとって必要なファイナンス理論のエッセンスを分かりやすく解説していきます。

番組詳細

第1回:ファイナンス(企業財務)の役割

初回の講義では、コーポレートファイナンスの目的と対象分野の概略について説明します。まず、企業の形態と資金調達の手段について考えていきます。本講義では、主に株式会社に焦点を当てて解説しますが、「形態の違いによってどのような違いがあるか」ということについて、ポイントをまとめて確認していきます。
次に、企業における財務担当者の仕事と役割について解説します。ここでは、今後の企業経営におけるコーポレートファイナンスの重要性を理解してください。
さらに、「所有と経営の分離」の概念と、プリンシパル(Principal:株主としての依頼人)、エージェント(Agent:実際の経営に携る代理人)の利害対立によるエージェンシー・コストの問題について考えてみます。
後半では、金融市場における直接金融と間接金融について整理し、直接金融の特徴と仕組みについて解説します。
最後に、「ファイナンスという学問とは、どのようなものか」ということについて、概略を解説しますので、総論としてのポイントをしっかりと押えて下さい。

第2回:現在価値と資本コスト

コーポレートファイナンスの目的である「資金需要者としての企業が効率的に財務戦略を展開し、企業価値を高めること」を実践するためには、まず、企業価値算定のもととなるキャッシュフローとその現在価値の計算の仕組みを理解する必要があります。今回から3回(第2回~第4回)にわたって、企業価値算定のもととなるキャッシュフローとその現在価値(PV:Present Value)の計算の仕組みについて解説していきます。
ファイナンスの最も基本的な原則の一つに「今日もらう1円は明日もらう1円よりも価値がある」というものがあります。このことを逆に言うと「将来もらう一定のキャッシュフローが現在のいくらに相当するのか」ということを考えることが、現在価値の視点になります。将来のキャッシュフローの現在価値を計算するためには、割引率(DR:Discount Rate)からディスカウントファクター(将来支払われる1円の現在価値)を求めて計算します。ここでは、具体的な計算プロセス(Step1:将来のキャッシュフローを予測する、Step2:資本の機会費用を予測する、Step3:将来のキャッシュフローを割り引く、Step4:現在価値が初期投資額を上回るかを正味現在価値(NPV:Net Present Value)により検証する)ということについて解説していきます。
これらの概念は、コ-ポレートファイナンスの最も基本的な概念ですので、しっかりと理解してから次回以降に進んでください。
次に、ハイリスク・ハイリターンの原則について解説します。ファイナンスの原則では、「リスクがあるものの現在価値は、リスクが無いものの現在価値よりも価値が低い」ということが言われます。このことを逆に言うと「よりリスクの高い投資に対しては、投資家は、より高い収益を上げることを期待できない限り、投資をしない」ということが言えます。このようなことから、「リスクとリターンの関係がどのようなものになっているか」ということを明らかにすることは、現在価値を求める上で非常に重要になります。このテーマについては、後半の第7回以降で取り扱いますので、ここでは大きなポイントのみを押えて下さい。
 さらに、収益性と正味現在価値による投資の2つのルールについて、解説します。投資を行う際の2つのルールとは、1.「資本コストを上回る収益率をもたらす投資のみを行うべきである」、2.「正味現在価値がプラスのもののみに投資すべきである」ということです。
後半は、資本の機会費用、投資と消費の関係について解説します。

第3回:現在価値の計算

前回までは、主に1年後のキャッシュフローの現在価値について解説してきましたが、今回からは、「1年以上のキャッシュフローの現在価値は、どのように計算すればよいのか」、(長期資産の評価)ということについて考えていきます。また、将来の複数の時点でキャッシュフローが発生する場合においても、同様の計算方法で求めることができます。
次に、金利の期間構造についてご紹介しますが、ここでは主題ではありませんので、その趣旨を理解することに主眼を置いてください。
さらに、長期資産における現在価値計算において特に必要とされる簡便法(3つの公式)について解説します。ここで言う3つの公式とは、永久債、成長型永久債、年金投資商品の公式になります。これらの公式は、企業が永続的に営業活動を続けると仮定した場合に、非常に良く使われる公式になります。一般には、企業価値算定の際に、よく使われます。
最後に、表計算ソフト(Microsoft Excel)を用いた現在価値の計算についてみていきます。現在価値の計算期間が多期間にわたっている場合やキャッシュフローが複雑に出入りする場合等、コンピュータを用いることによって容易にシミュレーションをすることができます。

第4回:複利計算と債券価格/普通株式の理論価格(1)

今回の講義では、これまでに学習した現在価値を計算する際の基本となる複利計算の考え方について、より詳しく学んでいきます。次に、インフレーションと金利、商品の購買力との間にどのような関係があるかを見ていきます。さらに、現在価値の応用として、「企業が発行する証券(債券、株式)の価格をどのようにして求めたら良いか」ということについて考えていきます。
ファイナンスでは、一般に金融資産の価値について、そこから将来生み出されるであろうと期待されるキャッシュフローの現在価値に等しいと考えます。そのため、金融資産から将来生み出されるであろうキャッシュフローとその現在価値を計算することができれば、その金融資産の理論的価値(いくらで取引されるべきか)を求めることができます。特に株式については、今回と次回の2回にわたって詳しく解説していきます。
自社が発行した証券は、「市場ではいくらで取引されているのか」、ということを常に把握・分析することにより、自社株の買入償却(市場価格が割安な場合)や増資(市場価格が割高な場合)など資金調達をより効率的にコントロールし、財務面からより高い企業価値を実現していくことができます。
最後に、株式の割引率を計算する際の期待収益率について解説します。ここでの解説は、次回へと続く導入部分となります。期待収益率を単純に株式の割引率とした場合の問題点について理解してください。

第5回:普通株式の理論価格(2)

まず初めに、配当割引モデル(DDM:Dividend Discount Model)と呼ばれる株式価値の評価モデルの考え方と一定成長配当割引モデルについてご紹介します。DDMとは、今日の株式の価値は、将来支払われると期待される全ての配当の現在価値の和と等しい、とする株式計算モデルです。
次に、現在の株式価値計算の主流となっているフリーキャッシュフローについて「どのようにして計算されるのか」ということについて解説していきます。ここでの内容が株式価値計算の基礎となるものですので、十分に理解できるように復習されることをお奨めします。

第6回:正味現在価値以外の投資決定基準

今回は、まず現在価値の知識の整理を行い、企業が投資の意思決定を行う際に多く用いている3つの基準(投資回収期間、会計上の収益率、内部収益率)について解説します。
ここでは、「正味現在価値による手法が、その他の手法と比べて、なぜ優れているのか(それぞれの意義と問題点)」ということについても意識して考えながら学習してください。
最後に、「企業が使うことのできる資本の額に制約がある場合に、どのような意思決定を行えばよいのか」、ということについて見ていきます。このような使用資本に制限がある場合は、計算上の正味現在価値がプラスであっても投資できないということが考えられます。そこで、正味現在価値がプラスの投資案の中で優先順位をつけて投資の意思決定を行う必要があります。一般には、線形計画法という手法がありますが、本講義では具体的なお話を行いませんので、さらに専門的に学習されたい場合は専門書籍等でご確認ください。本講義では、簡便法としての収益性インデックスについて解説します。

第7回:リスクとリターン/ポートフォリオ理論の基礎

今回から2回の講義では、株式資本の現在価値を計算するときに使われる割引率を求める際の計算モデルである、資本資産価格モデル(CAPM: Capital Asset Pricing Model)について解説します。このモデルは、リスクとリターンの関係から株式の割引率を算定するものです。
今回の講義では、まず「リスクをどのように捉えたら良いか」ということから解説していきます。ここではまず、「総体としてのリスクをどのように測定するか」ということについて捉え、その中で分散投資によって「分散可能なリスク」と「分散不可能なリスク」の2つに分けて解説します。
ファイナンスにおいて「リスク」について考える場合は、統計学の4つの考え方(分散、標準偏差、共分散、相関係数)が必要になりますが、ここでは、細かい計算式ではなく、それぞれの意味を把握し、計算は、Microsoft Excel等の表計算ソフトを利用すると良いでしょう。
次に、分散投資とその限界について、個別リスク(分散可能なリスク)と市場リスク(分散不可能なリスク)について解説します。また、ポートフォリオを組んで分散投資した場合の収益率とリスク逓減の効果が、どのように計算されるかを具体的に見ていきます。
最後に、ベータと個別リスクについて解説します。ベータ(β)とは、市場ポートフォリオに対する感応度を計算したものです。市場ポートフォリオとは、経済全体を示すような株式の組み入れのポートフォリオであり、S&P Corporate指数や東証株価指数(TOPIX)や日経225等があります。ベータの考え方は、次回の講義で解説する資本資産価格モデルの基本となる考え方ですので、十分に理解してください。

第8回:ポートフォリオ理論/資本資産価値モデル(CAPM)

今回は、いよいよポートフォリオ理論と資本資産価格モデル(CAPM: Capital Asset Pricing Model)について解説します。前回の講義でお話したポートフォリオの考え方について、より詳細に解説していきます。
前回ご紹介したポートフォリオによるリスク分散の考え方は、1952年にハリー・マーコビッツ(Markowits, H)が提唱したものです。市場にある全ての株式を組み合わせて、同じ収益率を上げるポートフォリオの中から、最も低いリスクとなるように組み合わせていく事で、効率的ポートフォリオができます。そして、その究極の形として効率的フロンティアについて解説します。
次に、効率的フロンティアによるリスク証券への投資と国債などのリスクフリー証券への投資を組み合わせたときに、どのような投資が可能になるかということについて考えていきます。
ここでは、資本市場線の中で投資が行われるという前提に立った場合、個別の株式が市場のリスクに対してどの程度の感応度を持っているかというベータ(β)によって要求収益率(リターン)が決まります。それを示すのが証券市場線です。その証券市場線を具体的な式で表したものがCAPMになります。
そして、CAPMを検証することにより、現実のデータからどのようなことが言えるのかという事について考えていきます。
CAPMは、実務で最も利用されることが多い考え方の一つです。その中核をなす概念は、前回の講義で解説したベータ(β)を用います。CAPMとベータ(β)は、株式資本のコストを考える際や、ファイナンスの理論の中では必ず出てくる概念ですのでしっかりと習得してください。

第9回:企業の資金調達と市場の効率性

今回から負債および株式資本の組み合わせにより、実際に割引率を求めていきます。その際に問題となるのは、企業が資金調達をする際に、負債、株式資本コストというものをどのように組み合わせて資金調達していくと良いのかということです。これが、第9回~第11回の主要なテーマとなっています。
懸命な資金調達によって、付加価値を生じさせ正味現在価値をプラスにすることは、非常に難しいと言われています。その考え方を突き詰めて考えると効率的市場の考え方になります。
次に、資金調達を考える際の前提となる効率的市場について解説します。
ここで、1953年、イギリスの統計学者であるケンドール(Maurice Kendall)が提唱したランダム・ウォークという考え方についてご紹介します。
次に、このランダム・ウォークの考え方をより発展させた効率的資本市場という考え方について解説します。
一般に効率的市場というとファイナンスでは、今日の株価に反映されている情報が「どの範囲まで入っているのか」ということによって3つのレベル(ウィークフォームでの効率性、セミストロングフォームでの効率性、ストロングフォームでの効率性)に分けて議論されています。
最後に、これらのことから「私たちは何を学ばなければならないか」ということを教訓として解説します。

第10回:負債政策とMM理論

今回より、負債と株式資本のコストを前提として、負債と株式資本をどのように組み合わせて資金調達していったらよいか。そして、どのように資金調達することによって、より良い企業価値を生むことができるのか。ということについて考えていきます。
企業の価値とは、将来発生するであろうフリーキャッシュフローを割り引くことによって、算定することができると説明してきました。しかし、現実には企業がどのように資金調達をするのかということによって、用いる資本コストを替える事ができます。このことをファイナンスでは、資本政策・負債政策と呼んでいます。
今回の講義では、この資本構成と企業価値についての有名な命題であるモディリアーニ(F. Modigliani)とミラー(M. H. Miller)の理論(MM理論)について解説します。ここでは、その代表的な2つの命題について解説します。
次に、MM理論の命題(完全なる競争市場のものとで負債政策がまったく企業価値に影響しない)の下で、「どの条件が満たされなければ、資本政策が有効になるのか」という事を考えていきます。
MM理論を理解するということは、資本政策・負債政策を理解するための第1ステップとなりますので、十分に理解してください。
また、後半では、このようなMM命題についてどのような伝統的見解(問題)があるのかということについて解説します。

第11回:現実の負債政策

今回は、MM理論の前提の下で、現実の負債政策により影響を与える要素(法人税、財務上の困難なコスト)について考えていきます。
今回の講義で、MM理論の修正を行いますが、「これはあくまでも修正であって、この理論を脱却し、資本市場の不完全性にもとづく伝統的な見解への回帰ではない」という点に注意してください。ここでは、MM理論の考察に法人税の効果、倒産および財務上の困難なコストというものを加えることによって、総合的に効率的市場というフレームワークの中での企業の負債政策、最適資本構成を分析するためのより現実的なフレームワークを考えていきます。
最後に、トレードオフ理論とペッキング・オーダー理論について考えてみます。

第12回:税を考慮した加重平均資本コスト(WACC)と価値評価

今回は、企業価値が最大化される最適な資本構成(加重平均資本コストが最低となるような資本構成)が、企業価値に与える影響について、より詳細に議論していきます。特に、「法人税が企業価値に与える影響をどのように調整していくか」ということについて考えていきます。ここではまず一つ目の方法として、一般に最もよく使われている税引後加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)の中で負債の持つ節税効果を反映する方法について解説します。次に、二つ目の方法として、100%株式による資金調達した場合の価値評価をベースに計算し、負債の持つ節税効果は別立てで現在価値を計算して足し合わせる方法である調整現在価値法(Adjusted Present Value)について解説します。

第13回:オプションの基礎知識

第13回では、最後の締めくくりとしてオプションについて解説します。オプションは、それ自体で1つの講座ができるぐらい豊富な内容を持つ分野です。
またオプションは、近年、急速に発展している金融工学(Financial Engineering)の根底をなす理論になります。
今回の講義ではまず、オプションの用語について解説します。ここではコールオプションとプットオプションについて考え方を理解してください。
後半は、ブラック・ショールズのオプション価格モデルについて解説します。

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32,500

講義時間:13時間

受講期間:12ヶ月

講師紹介

鈴木 一功

すずき かずのり

早稲田大学商学学術院 教授
東京大学法学部卒業、富士銀行入社。INSEAD(欧州経営大学院)MBA、ロンドン大学金融経済学博士(Ph.D. in Finance)。
富士銀行のM&A部門(現 みずほ証券)にて、企業価値評価モデル開発等を担当後、退職。
中央大学専門大学院国際会計研究科(アカウンティングスクール)教授を経て、現職。

著書に『MBAゲーム理論』(共著)、『MBAマネジメント・ブック(共著・初版及び新版)』、『MBA全集4ファイナンス』(監修)(いずれもダイヤモンド社)。