
【内容紹介】
スマートフォンの着信音、ホテルのロビー、あるいは高級品の広告。ヴィヴァルディの《四季》は、作曲家である彼自身が300年前には想像できなかったほどに、現代の日常生活に深く浸透しています。しかし、そのあまりの知名度の高さゆえに、これらのヴァイオリン協奏曲がバロック時代の独創性に満ちた革新的な作品であることを見過ごしてしまうのは、あまりにも惜しいでしょう。ベルリン・バロック・ゾリステンと樫本大進は、本録音を通じて、《四季》が持つあらゆる情緒的な細部があらためて「意識的に」聴かれ、再発見されてほしいと願っています。
2025年に実現したこの録音プロジェクトは、二重の節目を記念するものです。一つは《四季》の出版から300周年、もう一つはベルリン・バロック・ゾリステンの創立30周年です。同アンサンブルが最初にリリースしたCDも、まさにこの《四季》でした。また、ベルリン・フィルにとっても本作は重要な伝統を持つ作品です。1972年のヘルベルト・フォン・カラヤンとミシェル・シュヴァルベによる録音は伝説となっており、1987年のフィルハーモニーの室内楽ホールのこけら落とし公演でも、カラヤンはアンネ=ゾフィー・ムターと共に《四季》を披露しています。
ベルリン・フィルのメンバーと当時の第1コンサートマスター、ライナー・クスマウルによって設立されたベルリン・バロック・ゾリステンは、モダン楽器を用いながら歴史的背景に基づく演奏様式を実践することを目的としています。今回の樫本大進との新録音は、アンサンブルの歴史を継承することでもあります。ベルリン・フィルの第1コンサートマスターとして、現代の様式で演奏する樫本ですが、彼に多大な影響を与えた師の一人が、ほかならぬクスマウルでした。伝統と現代性が交錯する魅力、そして独奏者とアンサンブルが最大限の開放性と好奇心を持ってヴィヴァルディの鮮烈な描写に挑む姿が、本録音には刻まれています。本エディションは、ヨハネス・イッテンのコラージュ画『四季』をカバーアートに冠し、ベンジャミン・プーアによるエッセイを収録したブックレット付きによるCD/SACDハイブリッド盤、およびダウンロード配信でお楽しみいただけます。